
住宅を建てる際に見落とせないのが、建物の構造が火災保険や地震保険の料金に影響を与えるという点です。中でも「省令準耐火構造」の住宅は、火災に強いだけでなく、保険料を大幅に抑えられることから注目を集めています。
しかし、具体的にどのようなメリットがあるのかを詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、省令準耐火構造について、その特徴や保険料の節約効果、さらに知っておきたいデメリットまでわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
「省令準耐火構造」とは?火災保険料はいくら安くなる?

省令準耐火構造の概要
省令準耐火構造とは、住宅金融支援機構が定めた基準に適合した耐火構造で、主に木造住宅が対象です。屋根や壁、天井などに耐火性の高い建材を使用し、火災時に延焼を防ぎ被害を抑えることを目的としています。
「準耐火構造」や「耐火構造」といった言葉と混同されやすいですが、これらは建築基準法が定めるもので、特定の地域や条件において遵守必須の仕様です。一方、省令準耐火構造に法的な義務はありませんが、名称の通り「準耐火構造」と同等の耐火性能を持ちます。
省令準耐火構造は、火災保険や地震保険の保険料が大幅に割引されるため、経済的メリットの大きいことが特徴です。また、大手住宅メーカーが標準仕様として採用しているケースも多く、比較的取り入れやすい構造となっています。
戸建て住宅の火災保険料の相場
一般的な木造住宅に比べ、火災に強い省令準耐火構造の住宅は、火災保険料が半額ほどになるケースも少なくありません。火災保険料は建物の構造によって異なり、戸建て住宅の場合、主に以下の2つの「構造級別」を基準に保険料を算定しています。
H構造(非耐火構造)
主に一般的な木造住宅が該当し、耐火性能が低いため火災保険料は高めに設定されています。
T構造(耐火構造)
鉄筋コンクリート造や耐火建築物など耐火性能が強化された住宅が該当し、省令準耐火構造の戸建て住宅はこの区分に含まれます。H構造に比べて火災保険料が大幅に安くなります。
具体的な保険料の例として、以下のシミュレーション結果が挙げられます。
【大手保険会社5社の火災保険料比較】
H構造 | T構造 | |
A社 | 73,524円 | 49,025円 |
B社 | 71,120円 | 50,100円 |
C社 | 64,630円 | 42,872円 |
D社 | 70,950円 | 48,240円 |
E社 | 81,620円 | 45,710円 |
※以下条件にて算定
建物種類:新築戸建て、所在地:兵庫県、建物保険金額:2,000万円、家財保険金額:500万円、地震保険なし、5年契約
この結果から、省令準耐火構造住宅(T構造)は一般木造住宅(H構造)と比較して、火災保険料が3割から4割程度低減されることがわかります。火災保険は長期にわたって保険料を払い続ける必要があるため、省令準耐火構造の住宅を選ぶことは、将来的なコストの大幅な削減に繋がると考えられます。
省令準耐火構造にするメリット

省令準耐火構造は、火災時の被害を最小限に抑えることを目的とした設計であり、住居の保護はもちろん、居住者の安全性を高める構造です。ここでは、省令準耐火構造が持つ具体的な機能と、それによって得られるメリットを詳しく解説します。
火災に強く、延焼を防ぎやすい
省令準耐火構造では、建物の主要な部分(屋根、壁、天井など)に火災の影響を受けにくい素材や構造を採用しています。例えば、室内の壁や天井には耐火性能の高い素材や、他室への延焼を遅らせる「ファイヤーストップ材」を使用し、万が一の出火時にも火の広がりを抑えます。
さらに、外壁や軒裏を防火構造とし、屋根を不燃材料で仕上げることで、外部からの火災にも強く、隣家からの延焼を防ぐ効果が期待できます。このように、火災による直接的な被害や二次災害を軽減できる点は、省令準耐火構造の大きなメリットといえるでしょう。
地震保険料も割安になる
省令準耐火構造の住宅では、火災保険と同様に地震保険料も割安になる場合があります。これは、火災に強い構造が、地震時の火災発生による被害リスクを低減するためです。
例えば、一般木造住宅では地震保険料が年間13,000円程度かかる場合でも、省令準耐火構造の住宅では、その6割以下の7,500円程度に抑えられるケースがあります。
火災保険と地震保険の両方で割引が適用されるため、保険料負担の軽減に大きく貢献します。
住宅の資産価値が向上する
省令準耐火構造の住宅は、火災への強さという特性から資産価値が高まる傾向にあります。これは、将来的に住宅を売却する際や、賃貸物件として運用する際に有利になるポイントです。
また、このような住宅は不動産市場でも高い評価を受ける傾向にあり、購入希望者にとって魅力的な条件となるため、住宅の売却がスムーズに進む可能性が高まります。
省令準耐火構造にするデメリット

省令準耐火構造には多くのメリットがありますが、一方で気を付けるべきデメリットもあります。
建築コストがやや高くなる
省令準耐火構造を採用する場合、一般的な木造住宅に比べて、建築コストがやや高くなる傾向があります。これは、防火性能を高めるために特殊な材料や施工が求められるためです。具体的には、一般的な木造建築に比べて、数十万円から100万円程度コストアップが見込まれます。
しかし、長期的な火災保険料の削減や住まいの安全性を考えれば、十分に許容できる範囲といえるでしょう。
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間取り・デザインの自由度が下がる
防火性能を確保するため、特定の建築仕様や材料を使う必要があり、間取りやデザインの自由度が制限されることがあります。例えば、梁や柱をあらわしにした開放的な空間や、無垢材を使った外壁や軒裏のデザインは、防火性能の観点から難しいケースが多いでしょう。これらのデザインを実現するには、追加の手間や工夫が必要となり、さらなるコスト増につながる可能性もあります。
建築プランを考える際は、設計士や施工業者と相談し、希望のデザインと防火性能のバランスをうまく見つけることが大切です。
施工できる業者が限られる
省令準耐火構造の施工には、専門的な知識や技術が求められます。そのため、すべての工務店や建築会社が対応できるわけではありません。施工業者を選ぶ際には、省令準耐火構造の施工実績があるかを確認することが大切です。また、施工後に保証についても、必ず確認しておきましょう。
省令準耐火構造の確認方法と火災保険の必要書類

「省令準耐火構造はどこで確認できるの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、確認方法と火災保険の申し込みに必要な書類について、具体的にご説明します。
省令準耐火構造の確認方法
省令準耐火構造の住宅かどうかは、専門的な知識がないと判断が難しい場合があります。そのため、以下の方法で確認することをおすすめします。
設計図書の確認
住宅の建築確認申請書や仕様書には、省令準耐火構造に関する記載があります。設計士や施工業者に確認を依頼すれば、該当箇所について説明してもらえるでしょう。
施工業者への直接確認
住宅を建築した施工業者に直接問い合わせるのが、最も確実な方法です。特に、省令準耐火構造に対応した住宅を標準仕様として建築している業者であれば、詳しい説明をしてくれます。
火災保険の申し込みに必要な書類
火災保険の割引を受けるためには、省令準耐火構造であることを証明する書類を保険会社に提出する必要があります。以下に、提出書類の例を挙げます。
・建築確認申請書(第四面)
・建物の登記簿謄本(全部事項証明書)
・不動産売買契約書・工事請負契約書
・【フラット35】適合証明書(【フラット35】を利用した場合)
実際に必要な書類については保険会社によって異なります。家の引き渡しと住宅ローン契約・保険契約を同時に進める場合、住宅会社が必要書類を用意してくれることもあります。各契約の流れや手続き方法について、事前に住宅会社の担当者に確認しておきましょう。
まとめ|省令準耐火構造を標準仕様とする住宅会社を選びましょう

省令準耐火構造の住宅は、建築コストやデザインの制約といった側面があるものの、火災に対する安全性が高いことに加え、火災保険料や地震保険料の負担を軽減できる点が大きな魅力です。
省令準耐火構造を採用する際は、信頼できる住宅会社を選ぶことが大切です。特に、同構造を標準仕様とする住宅会社は、豊富な知識と経験を有しており、安心して任せられるでしょう。
ヤング開発では、省令準耐火構造を全戸標準仕様として無料で提供しています。また、住宅購入時に火災保険に関するご相談も無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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